ポケベル大量爆発事件で大混乱ーヒズボラ関係者狙われ死傷者多数

ポケベル大量爆発事件で大混乱ーヒズボラ関係者狙われ死傷者多数

レバノンの首都ベイルートの郊外を含む複数の地域で、17日に突如として異常な事件が発生しました。親イラン派の民兵組織であるヒズボラの戦闘員が主に使用しているポケットベル(ポケベル)に似た小型の通信機器が、同時に爆発するという事態が起きたのです。この事件を受けて、レバノンのアビアド保健相は翌日の18日に記者会見を行い、子ども2人を含む少なくとも12人がこの爆発で命を落とし、約2800人が負傷したと発表しました。

ヒズボラは、この一連の爆発をイスラエルの攻撃によるものだと断定し、報復を宣言しました。アメリカの新聞「ニューヨーク・タイムズ」は、米国の政府関係者の情報を基に、イスラエルが台湾で製造されたポケベルに爆発物と遠隔操作用のスイッチを仕込むことで、この攻撃を実行したと報じています。これは、昨年10月から続くパレスチナ自治区ガザでの戦闘を起点として、国境地帯で散発的に続いていたイスラエルとヒズボラとの衝突が、さらに激化する可能性を示唆しています。

レバノンの外務省は、この事件を「サイバー攻撃」と非難。現地の治安関係者は、 Reuters通信に対して、今年になって導入された新しい通信機器に爆発物が仕込まれていたと述べ、イスラエルの対外情報機関であるモサドの関与を主張しています。一方で、イスラエル側はこの件について明確な関与を肯定も否定もしていません。

この事件は、技術的なサボタージュと国際的な緊張の高まりを象徴しており、ヒズボラとイスラエル間の対立が新たな段階に入ったことを示しています。ヒズボラは、イスラム組織ハマスと連帯してイスラエルと対立関係にあり、今回の報復宣言は、既に緊迫した中東情勢にさらなる火種を投じることとなりました。