ソーシャルメディアX（旧ツイッター）を所有するイーロン・マスク氏にとって、ブラジルは非常に重要な市場です。しかし、最近のブラジルでの状況は複雑化しています。8月末に、ブラジルの最高裁判所はXに対して国内でのサービス停止を命じました。これは、Xがブラジルの法律に従う新たな法定代理人を任命しなかったこと、そして偽情報対策に不十分だったことが背景にあります。
その後、サーバープロバイダーを変更する動きがあり、Xはアメリカのクラウドフレアのサービスを利用し始めました。この変更により、ブラジルのユーザーの一部が再びXにアクセスできるようになりました。Xの広報はこの復旧が意図的ではなく、サーバー移行の副産物だとBBCに伝えました。しかし、このアクセスは一時的かもしれないと見られています。Xはブラジル政府と協力して、再び全面復旧を目指していると表明しています。
ブラジルのインターネットサービスプロバイダー協会（ABRINT）によると、クラウドフレアのシステムは動的IPアドレスを使用しており、これにより以前のように簡単にブロックすることが難しくなりました。動的IPは他の重要なサービスとも共有されているため、特定のIPをブロックすることは他のサービスの運用にも影響を及ぼす可能性があります。
この動きに対して、法律やITの専門家からは、クラウドフレアが協力すればブラジル政府のXへの規制を強化できるかもしれないという意見も出ています。しかし、クラウドフレアからの公式なコメントはまだ得られていません。
問題の根底にあるのは、Xとブラジル当局との継続的な対立です。特に、アレクサンドル・デ・モラエス判事は、Xに対して厳しい措置を取っており、偽情報拡散を理由に多くのXアカウントを停止させました。これがマスク氏との確執を深めています。