在中国日系企業の不安増大、「早期撤退希望」の声相次ぐ―邦人襲撃事件後の緊迫情勢

在中国日系企業の不安増大、「早期撤退希望」の声相次ぐ―邦人襲撃事件後の緊迫情勢

2024年9月18日、中国の広東省深セン市で衝撃的な事件が発生しました。日本人学校に通う児童が何者かに襲われ、日系コミュニティに大きな動揺が広がっています。この事件は、同じく中国で起きた6月の日本人学校バス襲撃事件に続くもので、中国に駐在する日本人やその家族、そして進出している日系企業の間で、安全に対する不安が急速に高まっています。

この事件を受け、中国に進出している日系企業の集まりである中国日本商会は、異例とも言える速やかな対応を見せました。襲撃事件が起こった直後、彼らは公式声明を発表。「本件を非常に深刻に受け止めている」との言葉と共に、改めて日本と中国両政府に対して、在留邦人の安全確保を強く求めるメッセージを発信しました。これは、6月の事件では見られなかった迅速な反応で、日系企業の間でいかに事態が緊急性を帯びているかを示しています。

商会に所属するある日系メーカーの幹部は、特に子どもを持つ駐在員の家族の間で中国への不安が増していることを明かしました。さらに、このような事件が続くことで、今後中国への駐在を希望する社員が確実に減少するだろうと懸念を示しています。

また、商社に勤める別の関係者は、事件に関する情報提供について両国政府の対応に不満を漏らしました。中国政府だけでなく、日本政府からも十分な情報が得られないと述べ、この日の事件についても、日本政府の公式発表より前に自社で情報をキャッチし、社内に対して注意を呼びかけたと話します。彼は政府の対応が「後手に回っている」と批判しました。

これらの声から、中国における日系企業の不安と不満が垣間見えます。企業や家族は、自分たちの安全が確保されない環境での生活や業務に強いストレスと恐怖を感じており、「早く中国を離れたい」という切実な願いが浮き彫りになっています。このような状況下では、日系企業の中国からの撤退や、家族の帰国が加速するかもしれません。