日本郵便は、ゆうちょ銀行の顧客情報が不正にかんぽ生命保険の営業活動に利用されていた問題について、10月11日に記者会見を開きました。同社の千田哲也社長は、同意を得ないまま保険の営業目的でリスト化された顧客情報が155万人分にのぼることを明らかにし、謝罪しました。この不正行為は2014年2月以降のデータが主に対象ですが、実際には2007年の民営化以降から長期間にわたって続いていたと考えられており、流用された顧客情報の総数は155万人を超える可能性があります。
千田社長は会見で、「全国規模で不正が行われていたことを示すに十分な数字だ」と述べ、155万人という数字が「システムで追える限界の数字」であると説明しました。また、長期間にわたり不正行為を防止できなかった点については、「何の言い訳もできず、情けない限りだ」と反省の意を示しました。今後、日本郵便はこの問題に関する調査結果をもとに、本社役員の責任を明確にする方針を示しています。
この問題を受けて、日本郵便は社内の情報システムを改修することを決定しました。今後、郵便局ではゆうちょ銀行の顧客情報、特に非公開の金融情報にアクセスできなくする対策を講じます。これまで、郵便局ではゆうちょ銀行の顧客情報を元に、たとえば貯金残高や定額貯金の満期時期に基づいて顧客を検索し、リスト化していました。そのリストはダイレクトメールの送付や電話でのアポイント取りに利用され、主に保険商品の勧誘に使われていたとされています。
全国の多くの郵便局では、このリストを活用して、顧客を保険などの販売対象としてリストアップし、景品付きのイベントを企画することで集客を図っていました。さらに、キャッシュカードの切り替えを口実に顧客を郵便局に呼び寄せ、保険商品の販売を進める手法も取られていたようです。これらの行為は保険業法に違反する可能性があり、現在、金融庁が事実確認を進めています。
また、来局を促すイベントについては、近畿地方の支社が金融商品を売り込むために企画するよう指示していたことが9月の報道で明らかになりました。この手法は、一部の自治体で定められている消費生活条例に違反する可能性があるにもかかわらず、内部告発が行われた際には日本郵政の社外通報窓口が「問題なし」と判断して取り合わなかったという経緯もあります。
千田社長は、会見の中で「条例違反があったことは認識している」と認める一方で、保険業法違反については9月6日の報道が出るまで気づいていなかったと説明しました。
NNU NEWSをもっと見る
購読すると最新の投稿がメールで送信されます。