10月19日、衆議院選挙が公示されて初の週末を迎えた早朝、政治の中枢がテロの標的となるという事件が発生した。選挙期間中に要人が狙われる事件は、過去にもいくつか発生しており、今回の襲撃も個人が単独で実行する「ローンオフェンダー」による犯行の可能性が指摘されている。
日本国内では、2022年7月に奈良市で安倍晋三元首相が、昨年4月には和歌山市で岸田文雄前首相がそれぞれ襲撃される事件が発生した。しかも、どちらの事件も個人による単独犯行であった。これを受け、警察は対応強化に取り組んでいる。昨年4月、警察庁は全国の警備や公安部門を統括する司令塔を設置し、テロの兆候に関する情報を一元管理する体制を整えた。また、東京都を管轄する警視庁公安部は、来春に情報集約や対策を専任で行う新たな課を設置し、テロの未然防止に努める方針を示している。この課では、爆発物の材料となる市販品の購入者に対する身分確認など、具体的な対策も行われる予定だ。
さらに、警察は現場の警察官が収集した情報を迅速に吸い上げるだけでなく、インターネット上のサイバーパトロールや人工知能(AI)を用いたSNSの文脈解析なども駆使し、テロの兆候をいち早く察知するための努力を重ねている。しかし、こうした取り組みにも限界があり、全ての脅威を事前に防ぐのは難しいとされているのだ。
今回の事件で逮捕された臼田敦伸容疑者は、抗議活動に参加していた過去があり、選挙制度に対する不満を抱いていたと見られている。また、彼は震災がれきの受け入れに関する自治体の説明会に侵入したことがあり、その際も捜査を受けましたが、いずれもテロに直結する行動ではありませんでした。犯行前の段階でテロリストを特定するのは難しく、警察幹部は「法律の範囲内でどのように情報を収集し、直接行動に移る兆候を察知するか、引き続き検討を続けていく必要がある」と述べた。
ローンオフェンダーによる単独テロの防止は、技術的な進歩や法律の枠組みだけでは解決が難しい複雑な課題であり、今後も警察当局の取り組みが求められる。
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