「ぐりとぐら」シリーズ累計2200万部超 中川李枝子さん死去、『さんぽ』も手がけた著名作詞家

「ぐりとぐら」シリーズ累計2200万部超 中川李枝子さん死去、『さんぽ』も手がけた著名作詞家

 児童文学作家の中川李枝子さんが89歳で亡くなりました。李枝子さんは、実の妹で画家の山脇百合子さんとのコンビで、長年にわたって数多くの名作を世に送り出し、その中でも特に絵本『ぐりとぐら』は、世代を超えて愛され続けています。また、宮崎駿監督のアニメ映画『となりのトトロ』のオープニングテーマ「さんぽ」も彼女が手がけた作品であり、日本中で親しまれています。

 中川李枝子さんは昭和10年(1935年)に札幌市で生まれました。保育園に勤務しながら創作活動を始め、1962年には最初の作品『いやいやえん』を発表。この作品はサンケイ児童出版文化賞などを受賞し、その才能が注目されました。そして翌年、妹の山脇百合子さんとの初の共同作品となる『ぐりとぐら』を発表しました。この絵本は、青い服の「ぐり」と赤い服の「ぐら」という、しっぽの長い双子の野ねずみが織り成す物語です。

 絵本『ぐりとぐら』は、発表から今日まで、多くの人に愛され続けています。「ぼくらの なまえは ぐりと ぐら このよで いちばん すきなのは おりょうりすること たべること」という有名なフレーズとともに、子どもたちだけでなく大人たちにも親しまれてきました。この作品は日本国内外で高い評価を受けており、版元である福音館書店によると、第1作は250回以上も重版され、累計発行部数は571万部以上に達しています。『ぐりとぐら』シリーズ全体では22作品が発表され、累計で2232万部以上が発行されました。特に第1作に登場する大きなカステラは、「日本一有名なお菓子」とも称され、多くの読者の心に残る場面となっています。

 さらに、中川さんの手がけた作品には、1963年公開のアニメ映画『となりのトトロ』のオープニングテーマ「さんぽ」もあります。「あるこう あるこう」で始まるこのテンポのよい楽曲は、今もなお母と子が一緒に歌い続けている名曲です。

 中川さんは、2022年に妹の山脇百合子さんが80歳で亡くなった際に、「私の方が先に逝くと思っていたけれど、先に逝かれてしまったという感じです。ぽかんとしています」とコメントし、深い悲しみを語っていた。

 この『ぐりとぐら』が誕生したのは福音館書店の月刊誌「母の友」の中でしたが、その「母の友」が2025年3月号を最後に休刊することが、今年の10月初めに発表されたばかりです。この知らせは、中川李枝子さんの訃報とともに、長く続いた児童文学の時代に一つの節目が訪れたことを感じさせます。


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