テスラは、10月11日、日本時間に新たな発表を行い、大きな注目を集めた。発表の内容は、ハンドルやペダルがない、完全自動運転に特化したロボットタクシー(ロボタクシー)の公開。これにより、未来の交通システムに新たな一歩が踏み出されることが期待されている。
テスラが発表したこのロボタクシーの名前は「Cybercab(サイバーキャブ)」で、2人乗りの完全自動運転車。特徴的なのは、従来の車にある運転席が存在せず、運転手が不要な構造となっている点。このCybercabは、ハンドルやペダルを持たないことで、真に無人運転に特化した設計が施されており、まさに未来の乗り物といえるだろう。さらに、この革新的なロボタクシーは、300万円以下の価格帯を目指しているとされている。
また、既存のモデルである「モデルY」や「モデル3」についても、米カリフォルニア州を皮切りに、無人運転が可能な技術を導入し、運転中の監視が不要になるという大きな進化が発表された。
このほか、テスラは「Robovan(ロボバン)」という20人乗りの自律走行車も公開。この車両は、乗客が多く集まる移動手段として、特に公共交通機関や企業向けのシャトルサービスなどに活用されることが想定されている。
イーロン・マスク氏によれば、こうした自動運転技術が普及すれば、個人が車を所有していない時間帯に他の人がその車を利用するなど、都市全体での車両利用効率が大幅に向上するとのこと。さらに、車が不要な時間帯は別の人を運ぶことができるため、都市内の車両台数を減らし、駐車場の必要性も減少するというビジョンが示された。これにより、都市環境が劇的に変わる可能性がある。
しかし、この発表後、テスラの株価は一時10%以上下落し、最終的には前日比で約9%の下落となった。投資家の間では、生産時期の不確定さや発表内容の詳細不足が、失望感を引き起こしたとの見方が強まっている。マスク氏自身も、Cybercabの生産開始時期については「2026年」としながらも、「私は楽観的になりがちである」とコメントし、規制当局の承認が必要であることも認めた。
投資家心理には「理想買い、現実売り」という格言があり、期待感で株価が上がり、現実が見え始めると利益確定のために株が売られるというパターンがしばしばみられる。今回のロボタクシーの発表でも同様の現象が見られたと言えるだろう。
テスラの株価は、現在、純利益の約61倍に達しており、非常に高い水準にある。これに対し、トヨタ自動車の株価は約9.4倍であるため、テスラの株価には割高感があると言われている。特に、EV市場全体の成長が2024年から足踏みしている現状では、テスラの評価には注意が必要だ。
それでも、テスラの高い株価には「単なるEVメーカーではない」という期待が込められている。テスラは、将来的にAI技術を活用したロボタクシーやロボット、さらにエネルギー事業を含めた幅広い分野でのプラットフォームとしての地位を築こうとしている。
また、イーロン・マスク氏がSpaceXを通じて宇宙輸送や通信分野で大きな変革を成し遂げたように、今回の構想も成功に導く力があるとの期待が投資家から寄せられているのだ。
このように、テスラの今後の動向は、技術革新とともに、多くの人々の期待を集めていますが、同時に株式市場においてはその進捗と現実のバランスが注視され続けることだろう。
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