厚生労働省は、ゲノム編集技術を利用して人の受精卵や精子、卵子の遺伝子を意図的に改変し、それによって子供を誕生させる研究や治療を規制するための法案を早急に国会へ提出することを目指して、調整を始めたことが明らかになりました。この法案の提出は、2025年までに行われる予定です。
ゲノム編集技術は、特に「クリスパー・キャス9(CRISPR-Cas9)」という手法の登場によって、これまでに比べて非常に簡単かつ効率的に遺伝子を改変できるようになりました。そのため、この技術の利用は急速に広がっています。しかし、特に受精卵に対してゲノム編集を行うことで、希望する特定の特徴を持つ子ども、いわゆる「デザイナーベビー」が誕生するのではないかという懸念が広がっており、社会的な議論が続いています。こうした問題に対して、欧州の一部の国々ではすでに罰則付きの法規制が整備されており、ゲノム編集技術の使用が厳しく制限されています。
今回の法案では、受精卵や精子、卵子に加えて、遺伝情報を持つRNAへの改変なども規制の対象にする方針です。現在、日本ではゲノム編集によって改変された受精卵を人の子宮に戻す研究は、指針によって禁止されています。しかし、遺伝子改変の研究は、生まれつきの病気に関する基礎研究や、不妊治療の一環としての体外受精に限って容認されています。
ただし、現在の指針には違反者に対する罰則が設けられていないため、仮に医療としてゲノム編集が行われた場合でも、それを取り締まる法律がない状況です。このような背景から、厚生労働省は法整備の必要性を強く感じ、早期に法案を提出する方針を打ち出したと考えられます。
NNU NEWSをもっと見る
購読すると最新の投稿がメールで送信されます。