アメリカの大手SNSプラットフォーム「X」(旧ツイッター)は、11月8日から広告収益の分配方法を大幅に変更することを発表しました。これまでの仕組みでは、投稿がどれだけ多くの人に閲覧されたか、つまり「インプレッション数」に基づいて収益が分配されていましたが、今後は「返信」や「いいね」の数、ブックマークや視聴時間といった要素に応じて収益を分配する方式に移行するとのことです。これにより、閲覧数を稼ぐだけを目的とした無意味な投稿や、偽情報の拡散を防ぐ狙いがあります。
特に問題視されていたのが、いわゆる「インプレゾンビ」と呼ばれるユーザーたちです。彼らは、インプレッション数を稼ぐために、内容のない投稿を繰り返したり、誤った情報を拡散したりしていました。この現象は、昨年の7月に始まった広告収益分配の仕組みが悪用された結果だとされています。この仕組みでは、一定の条件を満たした利用者が、投稿が閲覧された回数に応じて広告収益を得ることができましたが、これが逆に、質の低い投稿や偽情報が拡散される原因となってしまいました。特に、1月に発生した能登半島地震の際には、災害時の重要な情報が「インプレゾンビ」たちの投稿によって埋もれてしまい、必要な情報が適切に伝わらなかったという問題が指摘されています。
今回の新しい収益分配の仕組みでは、特に有料会員の「いいね」や返信が重視されるとのことです。無料会員の反応ではなく、有料会員からのアクションに基づいて収益が分配されるため、これまでのように単純に閲覧数を稼ぐだけの投稿が利益を生むことはなくなる見込みです。さらに、問題のある投稿に対しては罰則も設けられる予定です。
この変更には、もう一つの重要な狙いがあります。それは、Xの経営改善です。イーロン・マスク氏による買収後、Xの広告収入は減少し、経営が悪化していると言われています。そのため、広告収入に依存しない新たな収益源を確保することが急務となっており、今回の変更はその一環として、有料会員を増やすための施策でもあります。有料会員から得られた会費収入の最大25%が、投稿への反応に応じて利用者に分配されるという仕組みです。
11月8日以降、閲覧数を稼ぐことだけを目的とした投稿が減少することで、より有益なコンテンツが広がることが期待されており、Xのユーザー体験も向上する可能性があると言われています。
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