最近、ゲームの不正改ざん行為である「チート行為」の低年齢化が進んでおり、未成年者が気軽に手を出すケースが増えています。チート行為とは、ゲームのプログラムを不正に変更して、通常ではできないことを可能にする行為を指します。SNSや動画サイトでチートの方法が簡単に共有されており、子どもたちがこれらの動画を見て、自分でも試してみようとすることが少なくありません。しかし、このような行為がきっかけで、刑事事件や損害賠償問題に発展するケースも増えています。
たとえば、東京都内に住む男性は、18歳のときにスマホゲーム「人狼ジャッジメント」でチート行為を繰り返し、最終的に警察の捜査を受け、家庭裁判所に送致されました。彼は他のプレイヤーに嫌がらせをしたり、ゲーム内アイテムを不正に取得したりするチートを行っており、運営会社からの警告を無視して続けていました。しかし、ある日警察が自宅に訪れ、チートに使っていたパソコンが押収され、最終的には損害賠償を求められ、100万円を超える解決金を支払うことで和解しました。
この男性は、8歳のときにチートの存在を知り、最初はYouTubeの動画を通じて興味を持ちました。中学生になるとパソコンを使ってさまざまなゲームでチートを試すようになり、他のプレイヤーを驚かせることに快感を覚えたといいます。しかし、男性はチートが犯罪であることを知りながらも、自分の行為が問題になるとは思っていなかったそう。最終的には家庭裁判所で厳重注意を受け、現在はフリーターとして生活。男性は「チートをやっても何の得もない」と振り返るものの、後悔の気持ちは薄く、自分の行為に対してどこか他人事のような態度を見せている。
このようなチート行為は、ゲーム運営企業にとっても深刻な問題です。チートを使ってゲーム内で不正を行うと、他のプレイヤーがゲームを楽しめなくなり、結果的にプレイヤー離れが進んでしまいます。あるゲーム運営会社では、チート行為を24時間体制で監視し、不正を発見した場合は即座にアカウントを停止するなどの対策を取っています。また、これまでにもチート行為が原因で刑事事件に発展したケースが複数あり、運営企業は非常に警戒しています。
かつてはゲームの中で「裏技」として楽しむテクニックが存在しましたが、現在ではチート行為と犯罪の境目が曖昧になりつつあります。オンラインゲームでのチートは、運営企業のサーバーに不正な情報を送信する行為であり、「私電磁的記録不正作出罪」や「電子計算機損壊等業務妨害罪」に該当する可能性があります。さらに、チートツールを作成して公開したり、チート方法を広める動画を投稿したりする行為も罪に問われる場合があります。
チート行為は、ゲームを楽しむための「裏技」ではなく、法律に触れる危険な行為です。特に未成年が軽い気持ちでチートに手を出すことが増えているため、学校や保護者が注意を促すことが必要です。チートは一時的な楽しみかもしれませんが、長い目で見ると大きなリスクを伴うことを理解しておくべきでしょう。
この記事は、時事通信社とYahoo!ニュースの共同連携企画で作成された記事をわかりやすくアレンジしたものです。
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