石破総理は本当に変わったのか? 発言のブレとその裏に潜む苦悩の理由とは

石破総理は本当に変わったのか? 発言のブレとその裏に潜む苦悩の理由とは

 石破茂総理大臣が就任して以来、これまでの彼の発言とのギャップが目立つようになり、「総理になってから変わった」との指摘も多くなっています。こうした発言の変化には、石破総理の苦悩が反映されているように見受けられます。

 今朝、臨時閣議に出席した石破総理は、副大臣と政務官の人事を決定しました。しかし、新たに起用されたのは副大臣から閣僚になった議員の補充と、連立与党である公明党の議員のみで、大半は再任に留まりました。林芳正官房長官はこれについて「副大臣や大臣政務官の人事は、所管分野の状況や、本人の手腕・経験を踏まえて行った」と説明しました。

 しかし、ある自民党関係者によると、「選挙で落選する可能性のある議員がいるため、今大幅な人事調整を行うのは無駄になる」との理由も指摘されています。実際、石破総理が早期解散・総選挙を表明したことで、本格的な人事は選挙後に行われる見通しです。石破総理は先月30日に「10月27日に解散総選挙を行いたい」と発表しました。

 これまで早期の解散総選挙に否定的な立場を取っていた石破総理が、突然方針を変えたことについては「豹変した」との批判もありました。この会見では、いつもと違い、石破総理は手元の資料に何度も視線を落とし、慎重に発言している様子が見られました。通常は、演説や講演会で資料をほとんど見ずに熱心に話す石破総理ですが、この時はその姿勢とは一線を画していました。

 石破総理に近い議員は「これまで石破さんは自分の考えで自由に発言できたが、総理になると発言内容も調整が必要になるのだろう」と、彼の変化について説明しています。党内での支持基盤が弱い石破総理は、総裁選の勢いを維持するためにも、党内からの「早期解散すべき」という圧力に応じざるを得ない状況にあります。

 その苦悩は、旧知の野党議員との面会でも表れています。教育無償化を目指す会の前原誠司代表が「石破カラーを出して頑張ってください」と声をかけた際、石破総理は「出したら叩かれる」と苦笑交じりに答えました。また、前原氏が「本音をあまり言わないほうがいい」と忠告すると、石破総理は「本音を言うと国民は喜ぶが、党内は怒る」と返しました。

 さらに、石破総理の発言のブレは経済政策でも見られます。これまで彼は、アベノミクスによる大規模な金融緩和が「円安・物価高」を招いているとして、その見直しが必要だと指摘してきました。しかし、昨日の発言では「追加の利上げをする環境にはない」と語り、これまでの主張とは逆の立場を示しました。この発言を受けて市場は「円高・株安」から「円安・株高」へと反応しました。この変化は「石破ショック」とも呼ばれました。

 「正論」を貫くべきか、「現実路線」を取るべきか、石破総理の苦悩はまだ続きます。


NNU NEWSをもっと見る

購読すると最新の投稿がメールで送信されます。