米大統領選1か月前:民主・共和両党が警戒する『10月の波乱』とは? 過去のヒラリー氏メール問題やトランプ氏コロナ感染も再注目

米大統領選1か月前:民主・共和両党が警戒する『10月の波乱』とは? 過去のヒラリー氏メール問題やトランプ氏コロナ感染も再注目

 アメリカの大統領選挙は、毎回急展開を見せることが多い。特に、投票日が近づく10月には、予期せぬ出来事が起こることがあり、それを「オクトーバー・サプライズ(10月の波乱)」と呼ぶ。この「オクトーバー・サプライズ」は、選挙の流れを一気に変えてしまうことがあるため、民主党・共和党の両陣営はいつもこれを警戒している。

 たとえば、2016年の大統領選挙では、民主党のヒラリー・クリントン元国務長官が大きな波乱に見舞われた。彼女は国務長官時代に個人メールで機密情報をやり取りしていた問題があり、投票日の12日前にFBIが新たなメールを発見し、捜査を再開したのである。最終的に「訴追はしない」という結論になったものの、この出来事はヒラリー氏の選挙活動に大きな打撃を与え、結果的にドナルド・トランプ氏が勝利した。

 また、2020年の大統領選挙でもオクトーバー・サプライズがあった。それは、現職大統領だったトランプ氏の新型コロナウイルス感染である。当時、トランプ氏は74歳で、重症化のリスクが高い年齢だったため、健康状態が大きな話題となった。また、これまでウイルスの危険性を軽視していたこともあり、多くの支持者に不安が広がった。

 「オクトーバー・サプライズ」という言葉が政治の世界で使われるようになったのは、1980年の大統領選挙がきっかけである。このとき、民主党のカーター大統領は劣勢に立たされていた。カーター大統領は、イランでの米大使館人質事件を解決して、選挙で逆転を狙っていたが、共和党のレーガン陣営はこれを「オクトーバー・サプライズ」と呼んで警戒していた。最終的に、カーター氏は選挙に敗れ、人質はレーガン氏が大統領に就任した翌年に解放された。この人質解放の遅延には、レーガン陣営が裏でイラン側と取引していたのではないかという疑惑もあるが、真相は明らかではない。

 現在の大統領選挙でも、すでに異常な事態が相次いでいる。トランプ氏に対する暗殺未遂や、民主党の大統領候補の交代など、これまでにない波乱が続いている。また、中東情勢の緊迫や大災害が起きる可能性もあり、選挙戦の最終盤で何が起こるかは予測不能。両陣営がこのような突発的な出来事にどう対応するかが、勝敗を大きく左右することになる。


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